有限会社森茂八商店|森 清史
東京で働いていた頃の話。東京〜新潟間の上越新幹線では、標準語で話をするのですが、何故か新潟で「特急いなほ」に乗り換えた途端標準語が話せなくなります。電車も「デンシャ」ではなく「キシャ」に替わり、突然隣の席の人が、親しげに話し掛けてきたりします。隣に座ったおじさんが、何の前触れもなく、おつまみの貝柱の細長いビニールから中身をひとつ親指で押し上げ、「んっ」とだけ言って突き出してきた時は、思わず吹き出しました。皆が家に着く前から、「やっと帰ってきた」というほっとした安堵感を「特急いなほ」の車内に放出している気がします。慣れたつもりでいても、東京にいる間きっとどこかが緊張し続けているんでしょう。しばらくぶりの帰省の時など、意味も分からず泣きたくなったものでした。
言葉やお店などがどんどん標準化していく中で、故郷が「帰るべき故郷」であるために何が出来るのかを考え続けて行きたいと思います。10年後の故郷もこのままであって欲しいと願います。
2015.11.05:[リーダーズ]
故郷が「帰るべき故郷」であるために。
創業:江戸年間
所在地:鶴岡市本町
営業品目:畳内装工事・建築物清掃・等
http://www.aramonoya.com
有限会社森茂八商店
代表取締役 森 清史